あいちの“食”の未来を考える。名古屋文化短期大学の卒業制作「私たちが伝える食の祭典〜あいちサラダめし〜」に密着!
名古屋市東区にある名古屋文化短期大学 食生活専攻の卒業制作において、「あいちサラダめし」がテーマに選ばれました。1月に行われる卒業制作発表会までに、みなさんはどのようなレシピを考案するのでしょうか?悩みながらも真剣に愛知の食と向き合う学生さんたちの様子をレポートします。
今回の卒業制作のコンセプトは「私たちが伝える食の祭典〜あいちサラダめし〜」。同大学の教授・山田実加先生から、愛知県が目指す食育についての話があり、学生たちは真剣に耳を傾けていました。その中で愛知県の在来種である「伝統野菜」についても触れ、古くから地域に根ざした野菜があることも学びました。
あいちサラダめしについては、主催者でもあるキユーピー株式会社の名古屋支店長・山田秀春さんから直々にお話がありました。愛知県は野菜の生産が盛んであるにもかかわらず、摂取量では男女ともに低いということを聞いて、学生たちは驚きの表情。「野菜を楽しく食べることで、世界の健康に貢献できるような商品を開発しています」という山田さんの言葉に、うなずく姿も見られました。
卒業制作は、あいちサラダめしの“4つのルール”に則るだけでなく、愛知の伝統野菜(八事五寸にんじん・宮重だいこん・八名丸さといも)のどれかを含むことが追加されました。「難しいかもしれませんが、若い世代にも親しみやすい、斬新なアイデアを楽しみにしています!」と山田さんが激励し、学生さんたちはそれぞれシンキングタイムに。
学生さんに話を聞くと「彩りを重視した、ひと目見て食べたくなるようなメニューにしたいです」「男性でもガッツリ食べられる、ボリュームのある丼にしようと思っています」「伝統野菜を少しでも多くの人に知ってもらえるようなレシピを考案できたら」と、悩みながらも自由にアイデアを出していく様子が見られました。
そして1ヶ月後に迎えた卒業制作発表当日。この日はあいち在来種保存会の高木幹夫さんも駆けつけ、愛知の伝統野菜について講義を行いました。「卒業制作を通じて伝統野菜のことを知ってもらえたと思います。全部で21品目35種類もあるので、ぜひ興味を持って調べてみてください。このあとの発表も楽しみにしています」と話しました。
緊張の面持ちで学生さんたちが発表していきます。こだわったポイントや、どんな人に食べてもらいたいか、実際に販売することを想定した価格や売り方なども設定されており、愛知の食育について懸命に向き合った様子が伝わりました。
発表を終えた学生さんたちは、ほっとした様子で「あいちサラダめしをもっと一般的に知らせていきたいと感じました」「料理の幅が広がりました」と口々に思いを話しました。
そして審査の結果優秀賞に選ばれたのは… 「あいちサラダめし〜手作りラザニア〜」の考案者・野田莉萌さんと、
「あいちサラダめし〜気軽に食べられる!サラダガレット〜」の考案者・勝田紗莉菜さん!
野田さんのあいちサラダめしは、主食のパスタに八事五寸にんじんを練り込み、それをラザニア仕立てにした技ありの一皿。肉みそのミートソースで食べ応えを演出し、柔らかな八名丸さといもをクリームにして食べやすくしたそうです。野田さんは「にんじんを練り込んだパスタの生地は上手にできましたが、ラザニアに仕立てるところが難しかったです。今までは、ただおいしく作ることだけを考えてきましたが、ターゲット層を意識してレシピを考案することの大切さを学びました。社会人になってもこの経験を自分の成長につなげたいです」と話します。
勝田さんが考案したのは、ガレット生地に彩りよく野菜を巻き、片手でも食べられるメニュー。まず見た目にこだわり、同世代の人に「買いたい!SNSで広めたい!」と思ってもらえるようなところから考えたといいます。「レシピを考える勉強はしてきましたが、今回の制作で、頭の中で考えていることをアウトプットすることの難しさを実感しました。卒業後はパティシエになることが内定しているので、今回のことを生かし、作り手のことを意識したレシピを考えられる職人になりたいです」との言葉を勝田さんから聞くことができました。
2年間の学びの集大成を晴れやかに終えた学生さんたち。この経験を生かして、社会でも頑張ってほしいですね!